<桜も散り、新緑が目立つ季節になりましたが、相変わらず花粉がただよっており、花粉症の方には大変な季節になりました。いつもは、鼻で息をしているので、口の中が乾くことは稀ですが、花粉症で鼻が詰まると金魚のようにお口を開けて呼吸することが多くなり、お口の中が乾燥しやすくなります。お口の中が乾燥すると、口腔衛生上よくないと聞きます。とゆうことで、今回は口腔を潤す唾液の効能・効果を調べてみました。
唾液は約99%の水できており、残りの成分で独特の効能・効果(機能、function)を生み出しています。その残りの成分は無機物や有機物とくにタンパク質が含まれおり、重要な働きをしています。ではその機能を見ていきます。
効果・効能 (機 能) | 成 分 | 説 明 |
潤滑 | ムチン、プロリン・リッチ・グルコプロテイン | 滑りをよくします。 |
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抗菌作用 | リゾチーム、ラクトフェリン、ラクトぺルオキシダーゼ、ムチン、アミラーゼ、IgA(免疫グロブリンA)、プロリン・リッチ・グルコプロテイン、ヒスタチン、シスタチン | 細菌、真菌(カビ・酵母)、ウイルスに対する殺菌や静菌作用があります。 |
口腔内の粘膜の保護 | ムチン、電解質「ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩素、リン酸」 | 滑りがよくなるので、自分の歯で舌などが傷つくことを防ぎます。 |
浄化(自浄) | 水 | 汚れを落とす。 |
pHの緩衝と再石灰化 | 炭酸、リン酸、カルシウム、スタテリン、プロリン・リッチ・アニオンプロテイン、フッ素 | ・何らかの原因で口腔内が酸性になっても唾液の働きで中性に戻ります。・再石灰化は歯の表面を修復する働きです。この機能は歯を丈夫で長持ちさせるうえで重要です。 |
食物(特に乾燥したもの)を飲み込み易くする | 水、ムチン | せんべい、クッキー、ビスケット等を食べるときは唾液の効果が実感できます。 |
消化 | アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、リボニュークリアーゼ | 消化酵素ですが、思ったより酵素の種類が多いです。 |
味覚 | 水、グステイン | 味を感じる味蕾に味を届ける成分が含まれています。 |
発声 | 水、ムチン | のどが渇くと声が出にくくなりますが、のどに潤いを与えています。 |
歯石の形成阻害 | シスタチン、ヒスタチン、スタレリン | 歯石は歯垢が石のように固くなって歯の表面に付着するもので、それを作る働きを弱める。 |
私は早食いなので、あまり噛まないですが。
こんなに多機能な唾液ですので、食事には十分な時間をとって、食物をよく噛んで唾液を沢山出して食べるのが体の健康に良さそうです。http://kaken.nii.ac.jp/d/p/17500548
<歯磨屋さんのここがポイント!>
唾液の再石灰化は歯面のヒドロキシアパタイトを修復ですが、口腔内が酸性傾く再石灰化と反対に歯が解ける現象、脱灰が起こります。唾液にはこの酸を中和する働きがあり、同時に脱灰で失われたミネラルを歯面に供給します。
ところで、薬用歯みがき類に配合されている「フッ素化合物」は歯面を強化する働きがあり、耐酸性が向上します。唾液と全く異なる機構で歯を保護します。