jazztime2015

 

お盆も終わり残暑が厳しく、まだまだ、冷たいものが欲しくなる季節です。ところで、クール(COOL)には、クール・キャットとかクール・ジャズとかジャズに関する言い回しが・・・

ジャズで思い出しましたが、スモカは「大人のジャズタイム」のラジオのスポンサーになっています。話しが横にそれましたが、音楽を聴いて心にしみるお話ではなく、冷たいものを食べたときに、何故か歯がしみることがある経験をされたかは多いのではないでしょうか。

 

歯がしみる原因は、歯面のエナメル質が脱灰などで象牙質が露出すると、象牙質の細管から神経(歯髄)に刺激が伝わるためです。この知覚過敏は「象牙質知覚過敏」と云います。露出した象牙質に冷たいもの・温かいもの(温度差の影響)、甘いもの(濃度差の影響)、歯ブラシでブラッシング、歯垢(プラークは「酸」を作る細菌の塊、その「酸」でしみる⇒濃度差?)、風(気化熱⇒温度差?)、酸(炭酸飲料等)等の刺激が神経に伝わり、歯がしみる症状が生じます。

 

このような象牙質知覚過敏の症状でお悩みの方はグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社様の調査によると、日本では成人の約4人に1人の割合で歯がしみる方おられるようで、人口に換算すると約1570万人なります。これは東京都の人口の約1329万人(平成26年1月1日)より多い人数になります。

 

その露出する要因として、次の9項目が考えられます。

① 間違った歯みがき(ブラッシング)
以前、歯みがき粉を付けずに歯ブラシだけで磨いたと時に研磨性(専門的にはRDA(牛の象牙質で研磨性を評価方法)の測定)の程度を調べたことがあり、それなりに研磨性のある結果が得られていました。
「間違った歯みがき(ブラッシング)」と云うのは歯ブラシ(特に硬いもの)で力任せにブラッシングした時に歯と歯茎を傷めることを指します。
歯みがきの目的はむし歯や歯周病などの予防ですので、歯や歯茎に付着した歯垢を除去するためにブラッシングを行います。ブラシングだけでは、歯間に歯垢が残っている場合が多々あります。別途、歯間ブラシ、フロスなどを併用することがポイントです。力任せにブラッシングしても、歯周ポケットや歯間には歯ブラシの先端が届きにくく、磨き残しが生じます。結果的に、歯と歯茎を傷めることになります。
また、1つの要因だけで知覚過敏が起こるわけではなく、幾つかの要因が重なって起こるものと考えられます。例えば、①:ブラシングと⑥:歯周病の要因がある場合は、歯ブラシ(特に硬い歯ブラシ)で力任せに歯と歯茎の境目をブラッシングすると、歯周病で歯茎の炎症部分から出血が起こり、歯茎を傷める場合があります。歯間ブラシ、フロスなど丁寧に歯垢を除去することが重要です。

② 歯みがき粉
エナメル質自身は非常に硬いもので出来ているので、「歯みがき粉」(「歯磨剤」とも云う)に含まれる研磨剤で歯垢は削れても、歯が削れることはありません。鉱物の硬さを比較するのにモース硬度が使われていますが、エナメル質のモース硬度は6~7でほとんどの歯磨剤に使われている研磨剤はそれよりも低いです。よって、歯のエナメル質が削れることはありません。しかし、何らかの別の要因で、エナメル質に損傷があり、象牙質が露出している場合は、その部分はエナメル質よりも硬度が低いので、事前に歯科医の治療を受けられることをお勧めします。

③ 歯ぎしり、歯の噛み合わせが悪い
エナメル質が傷つき、削れてしまうのは「間違った歯磨き(ブラッシング)」ではなく、実は「歯ぎしり(噛み合わせが悪い)」が最も大きな原因ではないかと近年いわれています。
歯ぎしりの原因は「不安・疲れ・ストレス」など色々考えられますが、歯ぎしりは直接、歯のエナメル質同士をこすり合わせるため、その結果、エナメル質が削れたり、割れる大きな原因となるのです。事前に歯科医の治療を受けられることをお勧めします。

④ 酸
エナメル質はpHが5.5以下で溶け始めます(これを脱灰と云います)。食品・飲料の影響で口腔内が酸性になることがあります。このときにエナメル質の脱灰が進むと象牙質が露出して、歯がしみることになります。夏場に炭酸飲料を飲むことが多い方はお口の中が酸性に傾きやすいので知覚過敏になる可能性があります。ウーロン茶、緑茶などが良いようです。

⑤ 歯のホワイトニング
歯の着色の原因は外因性と内因性に分類されています。
外因性は歯の表面に付着した着色物によるもので、喫煙や飲料水(お茶、コーヒーなど)の付着汚れです。これは「PMTC」(Professional Mechanical Tooth Cleaning)などで物理的に除去できるものです。研磨剤などを用いて歯の表面から着色物を除去します。

内因性の着色は薬剤の服用(テトラサイクリン系抗菌剤:抗生物質)、フッ素の過剰摂取、金属修復物の溶出(銀歯など)、歯の打撲などによる歯髄の壊死(えし)、加齢による象牙質の厚みの増加などの影響で歯の内部から変色するもので、こちらは化学的方法によって着色の除去(ホワイトニング)が行われています。

<オフィス・ホワイトニング>
歯科医院での歯科医または歯科衛生士によるホワイトニング」で通常、1回以上の来院が必要で、1回の処置時間は30分~60分。高濃度の過酸化水素を用いるためラバーダムなどによる歯肉の保護を行う。ホワイトニング剤を歯面に塗布後、光重合ライトなどを勝者して漂白する。

<ホームホワイトニング>
患者自身が自宅で行うホワイトニング。歯科医院で作成してもらったカスタムトレーにホワイトニング剤(通常は過酸化尿素)をいれて自分で装着する。

これらのホワイトニング剤で漂白(ブリーチング)を行うと、知覚過敏を訴えた方がおられたが、処置を中断や装着時間の短縮により24時間~48時間で症状が消失した報告されています。
現在米国で発売されているホームホワイトニング剤のほとんどには、知覚過敏の抑制する硝酸カリウムやフッ化ナトリウムが配合されています。

⑥ 歯周病
歯周病が進行すると歯茎が下がって(歯肉の後退)セメント質が露出するようになり、このセメント質は、歯根部の象牙質表面をおおう 薄い硬組織です。骨と同程度の硬さ(モース硬度4~5)で エナメル質(モース硬度6~7)と比べると柔らかい。このため、はがれやすく、そのすぐ下層の象牙質が露出しやすい。露出する知覚過敏を発症します。

⑦ 歯科医での治療後(歯石除去後)
歯石取りなどの後に、知覚過敏の症状がでることがありますが、それは、歯周病によって下がった歯茎の上を歯石がカバーして象牙質に直接触れないようにしていたからです。歯石をとることで、象牙質が露出して「しみる」症状が現れることになります。

では、歯石を取らない方がよいのかといえば、そうではありません。歯石をそのままにすれば、虫歯や歯周病が進行してしまいますので、取り除く必要があるのです。

⑧ 加齢
年齢とともに唾液の分泌が少なくなると、口腔内環境が変化して、むし歯や歯周病になりやすくなり、結果的に知覚過敏も併発することになります。

⑨ むし歯
むし歯はミュタンス菌(むし歯菌、学名:Streptococcus mutans)の酸によってエナメル質が溶かされ、象牙質が露出すると知覚過敏になります。

なんだかんだといって、むし歯・歯周病から知覚過敏を併発すること考えると、そのもとは、歯垢(プラーク)であるので、それを除去することが、知覚過敏の予防になるのではないでしょうか。